⚙️ 応用編:
24時間シートを基にした
業務組み立てとシフト作成
24時間シートは、利用者さんの生活リズムを把握するための基本情報です。しかし、真の価値は、この「個別の生活リズム」をチーム全体の「業務計画」に落とし込み、効率化と個別ケアを両立させることにあります。
ここでは、24時間シートの情報を活用して、日々の業務内容や人員配置をいかに最適化するか、その具体的な手順と応用例を解説します。
1. 業務計画を組み立てる3つの視点
24時間シートのデータを分析し、業務計画に反映させる際には、以下の3つの視点が必要です。
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1. 集中ケア時間帯の特定 (ピークタイム):
起床介助、食事介助、排泄介助、集団でのレクリエーションなど、複数の利用者への介入が集中する時間帯を明確にします。この時間に手厚い人員配置が必要になります。
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2. 連続するケアの発見 (流れの最適化):
Aさんの排泄介助の直後にBさんの体位変換が必要、など、地理的・時間的に連続して実施可能なケアを見つけ、職員の移動や待ち時間を最小限に抑えます。
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3. 個別対応時間帯の確保 (非定型業務):
利用者さんの趣味活動、傾聴、入浴など、個別のニーズに応えるためのゆとりのある時間帯を特定します。この時間帯は、担当職員が他のタスクに追われず、質の高い個別ケアを提供できるようにします。
2. 24時間シートに基づく業務組み立てのステップ
シートの情報を具体的な業務指示に変換するためのプロセスは以下の通りです。
Step 1: 「しなければならないこと」を抽出する
シートから、排泄、服薬、食事、体位変換といった、絶対に実施すべき定型業務を時間帯ごとに全てリストアップします。
Step 2: 「利用者さんの希望」を時間枠に組み込む
利用者さんの希望(例:A様は7時半にゆっくり朝食、B様は6時前に静かに起床したい)を最優先で時間枠に配置します。これにより、介助者の都合ではなく、生活者のリズムが業務の軸になります。
Step 3: 人員配置と業務分担をシミュレーションする
集中ケア時間帯(例:7:00~9:00の朝食・排泄ラッシュ)に、必要な職員数(例:5名)を確保し、誰がどの居室を担当するかを事前に決定します。
Step 4: 「ゆとり時間」と「専門業務」を割り当てる
ケアが比較的落ち着く時間(例:14:00~16:00)に、看護師による処置、レクリエーションの準備、記録業務、個別傾聴などの非定型業務や間接業務を割り当てます。
3. 24時間シートを活用したシフト作成の応用事例
24時間シートは、職員のシフトを組む上での強力な根拠となります。
事例:早出シフトの最適な配置
シートの分析: C様(認知症)は6:30頃に起床後、非常に不安になりやすい。この時間に個別でそばについて対応すると落ち着く。D様は起床・排泄は自立しているが、朝の傾聴を強く希望している。
シフトへの反映:
* 早出スタッフの一人(E職員)を6:30にC様の担当として固定。E職員は特にコミュニケーション能力が高いため、シートの「関わり方」の欄を参考に、C様の不安解消に専念させる。
* 他の職員が集中ケア時間帯の介助に集中できるよう、E職員の介助業務の割り当てを意図的に減らす。
*→ 結果: C様の不穏が減少し、他の職員は安心して定型業務に集中できるようになる。*
4. 運用のポイントと見直しの重要性
24時間シートを基にした業務計画は、一度作ったら終わりではありません。PDCAサイクルを回すことが重要です。
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定期的(最低3ヶ月に一度)に見直す:
利用者さんの状態や生活リズムは変化します。シートに書かれた内容と、実際の現場の様子にズレがないか、チームで定期的に確認しましょう。
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利用者さんの意向を最優先する:
効率化を追求するあまり、すべてを時間で区切る「工業的」な視点にならないよう注意が必要です。生活の質の向上という目的を見失わないようにしましょう。
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すべての職員で共有する:
パート、夜勤者も含め、すべての職員が業務開始前にその日の担当利用者さんのシートを確認する時間をルーティンに組み込みます。
24時間シートを行動計画の設計図として活用することで、介護現場は「個人の生活リズムを尊重したケア」と「チームとしての効率的な業務運営」という一見相反する目標を両立させることが可能になります。
このシートを単なる記録ではなく、職員の思考を統一し、業務を最適化するツールとして最大限に活用しましょう。