連載第1回:はじめてのマフガイド
【認知症:由来】認知症マフとは?
手元から安心を届ける「魔法の筒」
介護の現場で、認知症の方が自分の服の裾をいじり続けたり、点滴の管を触ろうとしてしまう姿を見たことはありませんか?
これらは「手指の行き場がない不安」のサインかもしれません。そんな手に、そっと寄り添うために生まれたのが「認知症マフ」です。
1. 認知症マフのルーツと「Twiddle」
認知症マフの正式名称は、英語で「Twiddle Muff(トウィドル・マフ)」といいます。
「手持ち無沙汰で指先をいじくる」という意味。認知症の中核症状により、不安や退屈を感じると、人は無意識に手元にあるものを触って安心を得ようとします。
このマフは英国の病院ボランティアから始まりました。認知症の高齢者が、編み物の装飾をいじることで劇的に落ち着きを取り戻したエピソードは有名で、今では世界中の医療・介護施設で「薬に頼らないケア」として推奨されています。
2. なぜ「いじる」ことで安心するのか?
人間にとって、指先は「露出した脳」とも呼ばれるほど神経が集中している場所です。特に認知症が進行すると、言語によるコミュニケーションが難しくなる一方で、「触覚(触れる感覚)」は最後まで残ると言われています。
マフが筒型なのは、中に両手を入れることで「守られている」という心理的な安心感を与えるため。冬場の防寒具としての役割以上に、心の体温を上げる効果があります。
表面や内側に付けられた大きなボタン、リボン、ビーズ、感触の違う布地。これらは単なる飾りではなく、指先を動かしたいという「探索欲求」を満たし、不安な気持ちをマフへと向けるスイッチになります。
3. 活用してほしい代表的なシーン
以下のような場面で、そっと膝の上にマフを置いてみてください。
- 夕暮れ時:「夕暮れ症候群」でソワソワして歩き回ってしまう時
- 診察・点滴中:恐怖心から医療器具に手が伸びてしまう時
- 会話のきっかけ:ふさぎ込んでしまい、コミュニケーションが途切れた時
4. 連載で詳しく解説する「3つの効果」
「触れる」ことで脳内物質オキシトシンが分泌され、リラックス効果をもたらします。
「触ってはダメ」と制止するのではなく、別の「触って良いもの」を提供し満足感を得る戦略です。
マフが会話の「呼び水」になり、孤立を防ぎ自尊心を高める役割を果たします。
針も糸も使わない簡単な方法もあります。
まずは作り方を知ることから始めましょう。
🧶 認知症マフ・活用ガイド(全5回)
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【認知症:由来】安心を届ける「魔法の筒」の驚くべき効果(今ここ) - 2【認知症:効果①】感覚刺激とタクティールケアの力 →
- 3【認知症:効果②】代替行動による事故防止の戦略 →
- 4【認知症:効果③】孤独を癒やすコミュニケーションの力 →
- 5【認知症:作成】心を込めて手作り!マフの作り方ガイド →