【認知症:症状03】
暴力・攻撃的言動へのアプローチ
不意に手が飛んでくる、激しい言葉を浴びせられる…。暴力はスタッフを最も傷つけるBPSDですが、これは「悪意」ではなく、脳の混乱による「極限の自己防衛」です。攻撃のスイッチが入る理由と、身の守り方を整理しましょう。
1. 攻撃が起きる「3つの引き金」
① 「怖い!」という防衛本能
「何をされるか分からない」状況下で急に体に触れられると、脳は敵からの攻撃と判断し、反射的に手が出てしまいます。
② 言葉が出ないもどかしさ
「痛い」「不快だ」という意思を言葉で伝えられないストレスが、爆発的なエネルギーとなって行動に現れます。
③ 前頭葉の「ブレーキ」故障
理性を司る機能が低下し、誰でも持っている小さなイライラを抑えることができず、そのまま表に出てしまいます。
2. もし興奮が始まったら? 対応手順
【Step 1】物理的な距離をとる(安全確保)
腕が届かない位置まで下がり、正面ではなく斜め前に立ちます。正面は威圧感を与え、興奮を煽るためです。
【Step 2】「戦わない」姿勢を見せる
「やめてください!」と強い口調で返すと逆効果です。低いトーンで、ゆっくりと穏やかな声をかけ続けます。
【Step 3】一旦その場を離れる(リセット)
介助を強行しても悪化するだけです。安全を確認して一度退出し、人が変わるか時間を置くことで、興奮の波が引くのを待ちます。
3. 攻撃を未然に防ぐ「接遇」
- 「予告」の徹底: 「これから~しますね」と必ず声をかけ、本人の視界に入ってから動く。
- パーソナルスペースを意識: 相手のプライベートな空間にいきなり踏み込まない。
- 体調不良を見逃さない: 便秘、脱水、感染症などの不快感が攻撃性を高めているケースが非常に多いです。
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