【認知症:症状】06
大声への向き合い方と共感のアプローチ
フロアに響き渡る大声。それは認知症の方にとって、「言葉にできない不快や不安」を外に出す唯一の手段かもしれません。力ずくで止めるのではなく、その源を探りましょう。
1. 大声を出す4つの主な原因
① 身体的な「痛み・不快」
痛み、痒み、便秘、座りっぱなしの辛さ…。これらを言葉にできない時、叫ぶことで注意を引こうとします。
【確認のポイント】
おむつの汚れ、衣服の締め付け、姿勢による痛みがないかを確認しましょう。
② 孤独感・不安感
「誰もいない」「私を放っておかないで」という恐怖心が原因です。姿が見えないと叫ぶ「追っかけ大声」もこのタイプです。
【対応のヒント】
視界に入る位置で作業をし、「ここにいますよ」と時折肩に触れるだけで安心し、声が止まることがあります。
③ 周囲の刺激(感覚過敏)
テレビや食器の音が「耐え難い騒音」に感じられ、それに対抗しようとして大きな声を出している場合があります。
【対応のヒント】
静かな個室へ移動したり、照明を落とすなど、「感覚の休息」を提供してみてください。
④ 脳のブレーキ低下
感情を司る前頭葉の機能が低下し、イライラが爆発します。一度スイッチが入ると、自分でも止められなくなります。
【対応のヒント】
落ち着くまで一定の距離で見守ります。興奮がピークの時に説得するのは、火に油を注ぐようなものです。
2. 現場で試したい鎮静アプローチ
- 相槌でリズムを合わせる: 相手の声のトーンやリズムに合わせて相槌を打つと、次第にこちらの落ち着いたリズムに誘導できることがあります。
- 意識を身体感覚へ移す: 温かいお茶を提供したり、温かいおしぼりで手を拭いたりして、意識を「声」から「心地よさ」へ向けます。
- 「歌」を歌い出す: 好きな歌を隣で小さく歌ってみてください。叫びが歌に変わる成功事例は多くあります。
3. スタッフの心を守るルール
チームでの対応
- 特定のスタッフが抱え込まず、15分交代などのルールで疲弊を防ぎましょう。
- 「自分のせいではない」と割り切り、スタッフ同士で労い合う環境が不可欠です。
© 2026 認知症ケアの専門ガイド