介護 2024.08.18

介護職の成長とキャリアのこれから

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介護職は、やりがいや達成感、社会貢献などの高い動機を持って働く人が多い職種です。しかし、成長実感やキャリアの見通しが持ちづらいことも多く、介護業界の発展には課題があります。この記事では、介護職の成長とキャリアの現状と展望について、パーソル総合研究所とベネッセスタイルケアが共同で行った研究プロジェクトの成果を紹介します。

成長とキャリアの現状

介護職の成長とキャリアに関する現状を、以下の2つの観点から見ていきましょう。

介護のキャリアパス

介護の仕事には専門的知識や技能が必要ですが、家事の延長線上とみなされることもあります。その背景には、介護がもともと労働として見られていなかったことや、ホームヘルプ制度のルーツが「家庭養護婦」や「家庭奉仕員」であったことなどがあります。

介護における専門性を高めるための研修は、1982年から全国共通の「ホームヘルパー養成研修制度」として運用されるようになりました。そして、1987年には「介護福祉士」が国家資格として制定されました。さらに2006年には「介護職員基礎研修」が創設されましたが、2013年以降はホームヘルパー養成研修制度と一本化し、「介護職員初任者研修」→「介護福祉士実務者研修」→「介護福祉士」というキャリアパスが明確化されました。2015年には介護福祉士の上位資格として「認定介護福祉士」も創設されています。

上記のような資格制度という形でのキャリアパスの整備に加え、各介護事業者においてもキャリアパスを整備し、個々の介護職の評価を行うことが必要です。しかし、小規模な事業者においてはそのような評価は容易ではなく、職業能力の評価が事業者ごとにばらついていると、介護業界内で転職した場合に、その人の持つ能力が適切に評価されない可能性もあります。そのため、介護における職業能力を評価するための共通の物差しとして、2013年に「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」が創設されました。

この制度は、知識のみならず実践で通用するスキルが備わっているかも見るのが特徴であり、職員側・事業者側双方にさまざまなメリットがあることで介護職員の定着や新規参入にも繋がると見込まれています。ところが、制度設立当初年間2万人を見込んでいたレベル認定者数は、2020年4月11日現在6,318名にとどまっており、見込みには遠く及んでいません。

上記のようにキャリアパスが整備され、能力評価など介護の専門性の向上を促進する仕組みが整ってきてもなお、実際にキャリアアップしていると介護職自身や業界外の人が感じられる状況は至っていないようです。「介護人材の離職実態調査 2017」において、離職の理由として「給与の低さ」に並び、「キャリアの見通しのなさ」が挙げられていたことは、介護業界においてキャリアアップできる実感が持たれていない事実を象徴しているともいえるでしょう。

キャリアと報酬の連動

それでは、評価がキャリアアップの実感に繋がるにはどうすればよいでしょうか。「働く1万人成長実態調査2017」によれば、成長イメージとして最も多く挙げられていたのは「報酬の向上」であり、働く人々の成長イメージの基礎であると指摘されています。そして、2番目に多く挙げられていたのは「専門性の向上」でした。この両者が分かちがたいものであることは想像に難くないでしょう。

介護の業務・職種を専門的なものとして再定義し、その職業的地位を非専門職よりも上げることは、間接的に賃金水準等の待遇を改善することにつながると考えられます。そのために必要な専門性を高めていくルートの明確化と、それを実現する仕組みの整備は介護職の処遇改善という形で整えられつつあります。

2009年10月には「介護職員処遇改善交付金」が、2012年にはこれを引き継ぐ形で「介護職員処遇改善加算」の運用が開始されました。これらは、キャリアパスの整備に関する要件や職場環境等の整備・改善に関する要件や職場環境等の整備・改善にかかる費用の一部を国が負担するというものです。これらの制度により、介護職員の賃金水準は上昇傾向にあり、2019年には初めて平均時給が1,000円を超えました。

しかし、介護職員の賃金水準は他の職種と比べて依然として低く、介護職員の処遇改善にはまだまだ課題が残っています。特に、介護職員の賃金格差は大きく、地域や事業者によって賃金水準に大きな差があります。また、介護職員の賃金は、資格や経験年数などの能力や責任に応じて上がるということがあまりなく、キャリアと報酬の連動性が低いという問題もあります。

介護職員の賃金格差や報酬の連動性の低さは、介護職員の成長やキャリアの実感に影響を与えると考えられます。介護職員の成長やキャリアの実感を高めるためには、介護職員の能力や責任を適切に評価し、それに見合った報酬を支払うことが必要です。そのためには、介護職員の能力や責任を客観的に測ることができる指標や基準が必要です。そのような指標や基準を策定し、介護職員の賃金や処遇を決める際に活用することで、介護職員の成長やキャリアの実感を高めることができると考えられます。

成長とキャリアの展望

介護職の成長とキャリアに関する展望を、以下の2つの観点から見ていきましょう。

介護の専門性の向上

介護の仕事は、高齢者や障害者の生活を支えるだけでなく、その人らしさや尊厳を守ることも求められます。そのため、介護の仕事には、医療や福祉の知識や技能だけでなく、コミュニケーションや関係性の構築などのスキルも必要です。また、介護の現場は、利用者や家族、医療や福祉の専門家など、さまざまな人と協働することが求められます。そのため、介護の仕事には、チームワークやリーダーシップなどのスキルも必要です。

介護の仕事に必要なスキルは、資格や研修だけでは身につかないものも多くあります。実際の現場での経験や学びが重要です。しかし、介護の現場では、忙しさや人手不足などの理由で、経験や学びを振り返る時間や機会が少ないことが多いです。また、介護の現場では、自分の仕事の成果や効果を見ることが難しいことも多いです。そのため、介護職員は自分の仕事に対する成長実感や自信を持ちにくいことがあります。

介護職員の成長実感や自信を高めるためには、介護の仕事に必要なスキルを明確にし、それらのスキルを習得するための学習プログラムや支援体制を整えることが必要です。また、介護の仕事の成果や効果を見える化し、それらを評価することも必要です。そのためには、介護の仕事の目的や目標を明確にし、それらを達成するためのプロセスやアウトカムを定量的に測ることができる指標や基準を策定することが必要です。

介護の仕事に必要なスキルや指標を明確にすることで、介護職員は自分の仕事に対する専門性やプロ意識を高めることができると考えられます。また、介護の仕事の専門性やプロ意識を高めることで、介護職員は自分の仕事に対するやりがいや達成感を高めることができると考えられます。さらに、介護の仕事のやりがいや達成感を高めることで、介護職員は自分の仕事に対する成長やキャリアの実感を高めることができると考えられます。

介護のキャリアの多様化

介護の仕事は、高齢者や障害者のニーズや状況に応じて、さまざまなサービスや支援を提供することが求められます。そのため、介護の仕事は、一つの職種や職場にとどまらず、多様な職種や職場で働くことができる職種です。しかし、介護の仕事におけるキャリアの多様化は、まだ十分に進んでいるとは言えません。

介護の仕事におけるキャリアの多様化には、以下の2つの側面があります。

一つ目は、介護の仕事における職種や職場の横断的なキャリアの多様化です。これは、介護の仕事において、一つの職種や職場にとどまらず、他の職種や職場に移動したり、複数の職種や職場で働いたりすることを意味します。例えば、介護福祉士が、施設や在宅での介護サービスだけでなく、地域包括支援センターや介護予防事業などにも関わったり、介護と医療や福祉の連携にも携わったりすることです。

このようなキャリアの多様化は、介護職員のスキルや知識を広げることにつながります。また、介護の仕事の幅や深さを増やすことにつながります。さらに、介護の仕事の価値や魅力を高めることにつながります。

二つ目は、介護の仕事における職種や職場の縦断的なキャリアの多様化です。これは、介護の仕事において、一つの職種や職場で働き続ける中で、その職種や職場での役割や責任を変えたり、増やしたりすることを意味します。例えば、介護福祉士が、利用者の介護だけでなく、職場の管理や教育、研究や開発などにも関わったり、介護の専門家として社会に発信したりすることです。このようなキャリアの多様化は、介護職員の能力や責任を高めることにつながります。また、介護の仕事の成果や効果を高めることにつながります。さらに、介護の仕事のやりがいや達成感を高めることにつながります。

介護の仕事におけるキャリアの多様化を促進するためには、介護職員のキャリアの希望や目標を把握し、それに応じたキャリア支援を行うことが必要です。また、介護職員のキャリアの移動や変化に対して、柔軟に対応し、適切な評価や報酬を与えることが必要です。そのためには、介護職員のキャリアの移動や変化を可能にする制度や仕組みを整えることが必要です。

まとめ

この記事では、介護職の成長とキャリアの現状と展望について、パーソル総合研究所とベネッセスタイルケアが共同で行った研究プロジェクトの成果を紹介しました。介護職の成長とキャリアには、以下のような課題や可能性があります。

  • 介護におけるキャリアパスは整備されつつあるが、キャリアアップの実感は持ちにくい。
  • 介護職員の賃金格差や報酬の連動性の低さは、成長やキャリアの実感に影響する。
  • 介護の仕事に必要なスキルや指標を明確にし、それらを評価することで、専門性やプロ意識を高めることができる。
  • 介護の仕事における職種や職場の横断的・縦断的なキャリアの多様化を促進することで、仕事の幅や深さ、やりがいや達成感を高めることができる。

介護職の成長とキャリアは、介護の質やサービスの向上にも繋がります。また、介護職の魅力や価値を高めることで、介護業界の発展にも繋がります。介護職の成長とキャリアを支援することは、介護職員だけでなく、介護を必要とする人や社会全体にとっても、大きな意義があると考えられます。

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