介護 2024.07.09

介護職の成長とキャリアのこれから~介護業界の課題と展望~

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介護業界は、高齢化の進行に伴うニーズの増加と人手不足の深刻化という二重の課題に直面しています。介護職は、やりがいや達成感、社会のために働きたいという意識が強い一方で、成長実感やキャリアの見通しが持ちづらいと感じていることが多いのが現状です。介護職の処遇改善や職場環境の改善はもちろん重要ですが、それだけではなく、介護職が自分の仕事に誇りを持ち、専門性を高めていけるような環境づくりが必要です。本記事では、介護職の成長とキャリアに関する最新の研究や事例を紹介し、介護業界の現状と展望について考えていきます。

成長とキャリアの現状①:介護のキャリアパス

介護の仕事には専門的知識・技能や経験が不可欠であるにもかかわらず、いまだに家事の延長線上としてみなされることがあります。その背景は、介護がもともと労働として見られていなかったことや、訪問介護の源流ともいえるホームヘルプ制度のルーツが、何らかの理由で「家事」ができなくなった家庭を対象とした「家庭養護婦」や「家庭奉仕員」であったことなどによるといえるでしょう。ホームヘルパーが業務として行うことと、家族が行うこととは外見上の行為としては同じであることも、家事の延長線上とみなされる一因となりました(注1)。

介護における専門性を高めるための研修は、ホームヘルパーとして働く人たちからの研修の必要性を訴える声に応えて地域ごとの養成事業として始まり、1982年からは全国共通の「ホームヘルパー養成研修制度」として運用されるようになりました。そして、1987年には「介護福祉士」が国家資格として制定されました。さらに2006年には「介護職員基礎研修」が創設されましたが、2013年以降はホームヘルパー養成研修制度と一本化し、「介護職員初任者研修」に改められました。介護職員初任者研修は、介護の仕事に必要な基礎的な知識・技能・態度を身につけるための研修であり、介護職員のキャリアの入り口となるものです。介護職員初任者研修を修了した人は、介護福祉士や介護支援専門員などの国家資格の受験資格を得ることができます。 介護職員初任者研修の修了者数は、2019年度には約30万人に達しました(注2)。しかし、介護職員のキャリアパスは、介護職員初任者研修から始まって介護福祉士や介護支援専門員に至るという一本道のように見えることがあります。実際には、介護職員のキャリアパスは、介護の現場における役割や責任、介護の対象者やサービスの種類、介護の専門分野や関連分野などによって多様化しています。例えば、以下のようなキャリアパスが考えられます。 – 介護の現場における役割や責任に応じたキャリアパス – 介護現場のリーダーやマネージャーとして、チームの統率や業務の管理、人材育成などを行うキャリアパス – 介護現場のスペシャリストとして、高度な知識や技能を持ち、他の介護職員の指導や相談に応じるキャリアパス – 介護の対象者やサービスの種類に応じたキャリアパス – 認知症や障害のある人など、特定の介護の対象者に対応するキャリアパス – 在宅介護や施設介護、デイサービスなど、特定の介護のサービスに対応するキャリアパス – 介護の専門分野や関連分野に応じたキャリアパス – リハビリテーションや予防介護、介護予防教室など、介護の専門分野に関わるキャリアパス – 看護や介護保険、福祉用具など、介護と関連する分野に関わるキャリアパス これらのキャリアパスは、介護職員の個人の興味や適性、経験や能力、目標や希望などによって選択されるべきものです。しかし、介護職員が自分のキャリアパスを見つけるためには、以下のような課題があります。 – 介護職員のキャリアパスに関する情報が不足していること – 介護職員のキャリアパスに関する相談や支援が不十分であること – 介護職員のキャリアパスに関する評価や報酬が不適切であること – 介護職員のキャリアパスに関する制度や仕組みが不備であること これらの課題を解決するためには、介護職員自身だけでなく、事業者や行政、教育機関などの関係者が協力して取り組む必要があります。次の章では、介護職員の成長とキャリアに関する具体的な取り組みを紹介します。

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